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仮面ライダークウガ EPISODE14「前兆」

 

ストーリーガイド

荒川でメ・ビラン・ギとの戦闘に挑んだクウガ

メ・ビラン・ギの鋭利なヒレによる切り裂き攻撃を

タイタンフォームに変身する事で無効化する。

揉み合いの中、クウガの腕部へ鋭い歯を突き立てるメ・ビラン・ギ。

その時、現場に駆けつけた一条が科警研の開発した特殊ガス弾を

メ・ビラン・ギに命中させる。

 

命中した銃弾から噴出すガス。

効果は充分、たまらず水中へ退却していくメ・ビラン・ギ。

 

戦闘後、治療のために関東医大病院の椿を訪ねた五代。

そこへ荒川河川敷で発見された遺体が運び込まれてくる。

急ぎ司法解剖へ向かう椿と一条。

被害者はメ・ビラン・ギによって

100箇所以上の噛み千切られた傷を負っていたが

その腕には別の原因でついたと思われる切り傷があった。

また、現場を調査していた桜井からの連絡で

メ・ビラン・ギはこの被害者を襲う前

ボートから転落した釣り人を狙っていたが

急にターゲットを変更した事がわかった。

 

五代は椿と一条が運び込まれた被害者を調べている間に

蝶野の病室を訪れていた。

 

目覚める蝶野。

 

五代はなぜ未確認生命体に憧れたのか? と問いかける。

蝶野は俺の気持ちがわかる人間なんて誰もいない、と会話を拒絶する。

 

「蝶野さん、生きてますか?

 生きてるなら、生きてる事を自分で楽しくした方がいいと思うけどな」

 

五代の真摯な言葉も蝶野には届かない。

その時、入ってくる椿と一条。

椿は、蝶野が病室を出て行こうとする様子を見てそれを制止する。

 

蝶野の事は椿に任せ、一条は五代と病室を後にする。

一条は五代に、メ・ビラン・ギが血の臭いに

惹かれる習性があると推定し、荒川に人工血液を流して

ターゲットをおびき寄せる作戦を提案する。

 

一方病室では、椿の制止も効かず蝶野が出て行くところであった。

椿は蝶野に、自分の身体が病魔に蝕まれている事を

知っているのか、と尋ねる。

 

蝶野は答える。

 

死ぬのなんか怖くない。

未確認生命体なら俺の事を理解してくれる。

俺と同じように人間なんかいなくなれと思ってる。

 

「死ぬ事なんて、怖いもんか!」と声を荒げる蝶野。

 

そんな蝶野を椿は解剖室へ連れて行き

被害者の遺体を見せつける。

死と言う現実を突きつけられ、戸惑う蝶野。

 

「お前もそのうち死ぬよ。俺だっていつか死ぬ。

 生きてる時間をどう使おうがお前の勝手だ。

 だが俺は人間が生きる時間をこんな風に終わらせる

 未確認生命体を絶対に許さない!」

 

椿の言葉に感じ入るものがあるが

納得しきれない様子の蝶野。

 

 

その頃、九郎ヶ岳の遺跡発掘所では、驚くべき事態が進展していた。

先日発見された古代文字の書かれた奇妙な台座を中心に

破片が寄り集まって、一つのカタマリになってしまっていたのだ。

研究のため、そのパーツを東京へと輸送する事になり

長野県警の亀山がその指揮を執り、ジャンも同行することになった。

 

しかし、輸送の途中諏訪パーキングエリアで

一時休憩を取った際、トラックに積み込んでいた

全てのパーツが一塊となり、空中へと飛翔した。

あとにはコンテナの破壊されたトラックが残るのみだった。

 

 

一方、荒川では、人工血液を川に流してメ・ビラン・ギを

おびき寄せる作戦が開始されていた。

モーターボートで川を行く一条の背後から

メ・ビラン・ギが現れる。

バイクで河川敷を併走していた五代は

クウガ、ドラゴンフォームへと変身しモーターボートへ飛び乗り

揉み合いの中、三人は川へと転落する。

 

一方タクシーで家路に着こうとしていた蝶野は

警察による通行規制が敷かれている事で、すぐ近くに

未確認生命体が出現している事を知り、現場へと向かう。

 

河川敷に辿りついた蝶野の前に、突如現れるメ・ビラン・ギ。

蝶野はメ・ビラン・ギとコミュニケーションを取ろうとするが

相手はただ一言「獲物だ」と呟きそのヒレで蝶野の頬を切り裂いた。

その鋭い牙が、蝶野を捉えようとした瞬間

クウガがそこに割って入る。

 

川の中で激しい戦闘を繰り返す二人。

川辺にあった棒を手にしたクウガ

ドラゴンロッドの一撃でメ・ビラン・ギを葬る。

 

変身を解いた五代の姿を見て

蝶野は、こいつに助けられたのか・・と呟き

その場を走り去っていった。

 

 

EPISODE14感想

さて、前回に引き続き物語の中心になるのは

非常に反社会的人物である蝶野潤一。

病室で五代くんと語り合う蝶野も

取り付く島もないというか

会話が通じないというか

理解そのものを拒むかのような姿勢に

さすがの五代くんの表情も曇る。

今まで劇中では一度も見せた事がない沈んだ表情は必見だ。

 

しかし、この蝶野の気持ちも

未確認生命体への憧れみたいなものは別として

非常に良くわかる気もする。とにかく何と言うか

五代くんのヒーロー資質の言葉というのは

やっぱり日陰者の身分からすると眩しすぎるのだ。

お前には俺の気持ちなんてわからない、と

ありがちなセリフを吐いてしまうのにも共感できる。

そこへまた、五代くんは

他人の気持ちになる事はできない

思いやる事は何とかできる、とか返すもんだから・・

 

自分の身体が病魔に冒されている事や

なにをやってもうまく行かない人生や

最後には、ただ現実を知らないだけとはいえ

憧れていた未確認生命体に殺されかける。

更には、ヒーローとして活躍する五代くんの姿を

目の当たりにした上で出てくる

「こいつに助けられたのか・・」というセリフに込められた

凄まじいばかりの劣等感たるや・・気の毒になってくるぐらいだ。

 

結局のところ、彼の救済はなされないままこの話は終わってしまう。

しかし逆に、そこがリアルだ。簡単には解決しない問題だろう。

 

さて、今回はいきなりメ・ビラン・ギのヒレが

マイティフォームの胸の鎧を切り裂くなど

インパクトのある戦闘シーンが多い。

タイタンフォームで敵の攻撃を退けるも

剥き出しの腕に噛み付かれると

ダメージを食らってしまうところなど

「あ、やっぱりそこは無防備なんですね」と思ってしまう。

科警研の特殊ガス弾が非常に効果を発揮していたり

人工血液を川に流す作戦で見事にメ・ビラン・ギを

おびき寄せるなど、とにかく特撮番組にあるまじき有能振りを見せる

一条さんはじめ警察の面々に頼りがいがあるのが何とも嬉しい所だ。

長野県警の亀山くんが一条さんに電話をかける時は

なぜか必ず間が悪い。何だか伝統芸能のようだ。

 

さて、今回一つ注目して欲しいのは

ポレポレのマスターが姪っ子にドーナツの味見をしてもらうシーン。

マスターは、このドーナツはエベレスト

いやチョモランマ級にマズい! というのだが

以前、マスターはチョモランマの事をチョモラマンと間違えていて

一条さんが五代にそれとなく教えてあげてくれ、と言っていたのだが

どうやらきっちり伝わっていたようだ。細かい話だが。

 

 

怪人査定 ピラニア種怪人 メ・ビラン・ギ

攻撃力   7

防御力   4

スピード     8

特殊能力        2 

知性               5

ビジュアル    5

 

メ・ビラン・ギはピラニアの怪人。

ズ・ザイン・ダとの一戦では

捉えきれないほどの超スピードを見せていたうえ

マイティフォームの鎧に強烈な切り傷をつける鋭利なヒレや

鋭いキバでの噛みつき攻撃など、野生的な攻撃が目立つ。

警察の特殊ガス弾で大ダメージを負うなど

守勢にたたされると弱い印象だ。

標的に対する殺戮も残忍で、一人の被害者に

100箇所以上の噛み傷を与えるなど常軌を逸している。

 

さて、今回はグロンギの戦列にもう一人新顔が登場している。

ヘルメットを被って奇妙なフェイスペイントをした男だ。

その辺にある車を運転するぐらいの知性はあるようだが

突然バックして車をぶつけたり

腕章の安全ピンを直接素肌に止めたり・・

このシーンの不快なBGMと相まって

すさまじく不気味な印象作りに成功している。